寝かしつけに時間がかかると感じている時に読んでみたい絵本

生活習慣

寝かしつけに毎晩時間がかかる。。。コテっと寝てくれるときもあれば、まだ寝たくない!!とぐずることもある。とっても可愛いんですけどちょっと疲れちゃうことってないでしょうか。睡眠研究の観点では、単に「眠れる環境」がまだ整っていないだけなんだそうです。この記事では、子どもがなかなか眠れないメカニズムと絵本を使った睡眠ルーティンのアイデアをご紹介します。

なぜ子どもはなかなか眠れないのか?

メラトニンの分泌タイミング

眠りを促すホルモンである「メラトニン」は、暗い環境になってから1、2時間後に分泌が高まるとされています。現代の家庭では夜になっても明るい照明やスマホ・テレビのライトに晒されがちですが、これらがメラトニンの分泌を遅らせます。大人の不眠でもよく言われていることですが、子どもにも同じように当てはまるんですね。

「寝る」という行動への切り替え

楽しく遊んでいたのに、突然「眠り」へと切り替えることは、脳の発達途上の子どもには本当に難しいようです。考えてみれば、大人でも難しいですよね(スマホをベッドに持ち込んで寝落ちするまでみてしまう。。。)。お子さんの脳を眠りへと切り替えてあげる合図が必要なんですね。

暗い部屋で眠ることへの不安

アタッチメント(愛着)理論によると、ごく自然な心理的反応として「守られている」という安心感が子どもの眠りには欠かせない要素とされています。「1人で暗い部屋に置いていかれる」ことへの不安が「まだ眠くない」という言葉として出てくるのかもしれません。

絵本はなぜ寝かしつけに効くのか?

調べてみると、絵本の読み聞かせが寝かしつけに有効なのは、「眠くなるお話だから」ではないようです。ポイントは、絵本を読むというルーティンにあります。

発達科学メモ

Midell et al.(2009)による乳幼児を対象にした研究では、毎晩決まった就寝ルーティンを実施したグループでは、入眠までの時間と夜中の覚醒回数が有意に改善したことが報告されています(Sleep, 32(5), 599-606)。

発達科学メモ

Anders(1994)による乳幼児の睡眠パターンの発達の研究では、特定の状況や行動が繰り返されることで眠りへの移行が促されるメカニズムが示されています(Psychiarty, 57, 11-21)。

絵本は、この子どもを眠りへと誘う手がかりとして機能することが述べられています。子どもが中々眠れない原因と結びつけてみると、

照明を落とすきっかけになる

絵本を読む習慣=「部屋を暗くする」習慣と結びつけることができれば、お話のスタートが眠りと自然に結びついていきます。暖色の間接照明を使えば、メラトニン分泌も妨げません。

脳に「もうすぐ眠る」を教える

「お風呂→歯磨き→絵本→消灯」というルーティンを繰り返してあげることで、絵本を開いた瞬間から脳を睡眠モードへ導くことができるのではないでしょうか。条件付けですのですぐにはルーティンにならないかもしれませんが、根気強く続けてあげることで、よりスムーズな睡眠につながると思います。

親との距離の近さ

大好きな人とくっつくことは、愛着ホルモン「オキシトシン」の分泌を促すとされています。子どもとくっついて絵本を読む体験は、子どもにとっても親にとっても、安心感と結びつく時間になっていくのではないでしょうか。

おすすめ紹介の前に

寝かしつけの絵本って、図書館や本屋さんでもコーナーが設けられていることも多く、結構種類があると思います。1つのおすすめとして、お子さんの年齢に合わせて選んでみると良いかと思います。

0-1歳 「もうねんね」(▶️Amazon)がおすすめです。シンプルな文・繰り返しの言葉・少なめの視覚情報、という条件がこの時期の睡眠ルーティン形成に役立つのではないでしょうか。

3歳- 「よるくま」(▶️Amazon)「きょうはなんのひ?」(▶️Amazon)がおすすめです。分離不安や暗いのが怖いという感情が子どもの就寝の障壁になってくる年齢です。「みんな眠る」という概念を説明するより「お母さんやお父さんはいつでも戻ってくるよ」というメッセージを届けられる、そんな絵本になっており、おすすめです。

おやすみなさいおつきさまマーガレット・ワイズ・ブラウン作/クレメント・G・ハード絵/瀬田貞ニ訳 評論社(1979年)

小さなウサギが寝室の中のものひとつひとつに「おやすみなさい」と挨拶していく絵本です。1947年にアメリカで出版されて以来、世界中の寝室で読み継がれてきた定番の絵本です。

「部屋の中のすべてのものにおやすみをいう」構造が子どもの注意を身近で安全な対象物へと順番に向けさせ、外への興奮を静かに「閉じる」働きをします。繰り返しの文型が予測可能な安心感を生み、絵もページが進むごとに暗くなっていく、視覚的にも眠りへの移行を後押ししてくれる構成になっています。

読む速度を意識的にゆっくりにして、ページをめくるごとに声のトーンを少し落としていくと絵本の進行とぴったりですね。読み終えた後に大好きなおもちゃにもお休みしようね、と子ども自身のものにも挨拶する習慣を組み合わせてみると素敵な睡眠ルーティンになると思います。

ねないこだれだ(せなけいこ 福音館書店 1969年)

夜中まで起きているとおばけになってしまうというシンプルな内容、怖い絵本と思われがちですが、実は睡眠ルーティンにも使えると思います。

「夜=眠る時間」という大人にとっては自然な概念を子どもが明確に理解できる絵本は意外と少ないような気がします。「おばけになる」という結末は、2-4歳の子どもにとって「夜は寝るべき時間」を強く印象付ける仕掛けになっています。感情とリンクした体験を通じて、「この絵本を読んだら寝る時間」という条件付けが形成されやすいと思います。

ただ、やっぱり使い方は難しいかもしれません。うちの子は怖がるというより「おばけだ!」と逆に大興奮して目が冴えてしまう絵本でした。でも、お休み前のお気に入りルーティンになっているという周りの声も聞きますので、一度試してみる価値はあるかと!

きょうはなんの日?瀬田貞ニ 作/林明子 絵 福音館書店(1979年)

女の子のまみこちゃんが家中にメモを隠して、お母さんに宝探しをさせる、1日の終わりに「今日はとっても良い日だったな」と感じさせてくれる、就寝前のポジティブな振り返りをさせてくれる、温かな絵本です。

睡眠研究では、就寝前に「今日うまくいったこと」を振り返ることが入眠の質に影響することが示されています。不安や興奮した状態では寝つきが悪くなりますが、安心・満足の感情は入眠を手助けします。「今日は何が楽しかった?」という絵本読み聞かせ後の会話で自然と、就寝前のポジティブな振り返りの習慣化につながりますね。

もうねんね 松谷みよ子 作/瀬川康男 絵 童心社(1969年)

「ワンワンも、ニャーニャーも、みんなねんね」、動物たちが次々と眠っていく、シンプルな絵本です。シンプルだからこそ、50年以上も読み継がれているロングセラーになっています。

シンプルな絵、短い文、繰り返し、で就寝前の落ち着いた時間の睡眠導入に早い月齢から使える絵本だと思います。「みんなねんね」という言葉で、背中をさすりながら、ゆっくりと落ち着いた声で読んであることで、スムーズな眠りへの移行を作れるのでおすすめです。

よるくま酒井駒子 偕成社(1999年)

夜中に目を覚ました小さなクマが、お母さんを探して夜の街を歩く、静かで美しい夜の絵と最後にお母さんに出会える温かい結末の絵本、暗い街を一人で歩く孤独とお母さんと再開した瞬間の暖かさを対比で描く絵が「夜は怖いけれど、お母さんは戻ってきてくれる」というメッセージを伝えてくれます。言葉じゃなくて、絵で伝わるのがとっても素敵です。

発達科学メモ

Bowlby(1969)のアタッチメント理論によると、子どもが親を安全基地として感じられることが夜間の分離不安を和らげるとされています。

絵の物語を理解できる月齢のお子さんであれば、読み聞かせ後に「クマさんもお母さんに会えてよかったね」「お母さんも○○ちゃんのそばにいるよ」と安心を補強してあげましょう。

参考文献

Mindell, J. A., Telofski, L. S., Wiegand, B., & Kurtz, E. S. (2009). A nigthly bedtime routine: impact on sleep in young children and maternal mood. Sleep, 32(5), 599-606.

Anders, T. F. (1994). Infant sleep, nighttime relationship, and attachment. Psychiatry, 57, 11-21.

Bowlby, J. (1969). Attachment and Loss, Vol. 1. Basic Books.

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